ラボ紹介
私たちの研究室では生物が合成する様々な有機分子である代謝物質の網羅的なデータベースを中心に、ゲノム配列や遺伝子発現を解析する生物情報学、ネットワーク解析学、医療情報学を応用して、生物の理解とヘルスケアへの利用を目指しています。クラスタリング、ランダムフォレスト、ベイズ因子などの統計解析や深層学習を用いた特徴抽出、グラフ理論にもとづくネットワーク分析などを利用し、大規模なデータベースを横断的に解析しています。生物実験というノイズの影響の大きなデータに対して効果的な統計評価の方法を開発し、既存の手法で見つけ出すことが難しかったパターンを発見することを目的としています。現在ラボで研究しているテーマの一部として、例えば次のようなものがあります。
技術紹介
- 世界の食材及び薬用植物のデータベース構築とその利用法の分析
KNApSAcK Familyデータベースはメタボロミクス研究の分野で世界から高い評価を受けている二次代謝物データベースです。また、漢方薬やインドネシア生薬(Jamu)、などにおけるさまざまな植物の利用のされ方なども蓄積しています(図1)。 - ネットワーク・クラスタリング手法の研究
ゲノミクス、メタボロミクスなど生命システムに関する網羅的なデータを効率良く分析するため、ネットワーク・クラスタリング手法を開発しています。 - 肺がんの組織画像の畳み込みニューラルネットによる特徴抽出と遺伝子発現パターンの相関分析
肺がんの治療のためのより詳細な診断の確立を目標に、腫瘍組織の遺伝子発現をサブタイプに分類するクラスタリングの手法を開発するとともに、遺伝子発現の違いが細胞の形状や分布に及ぼす影響を分析するため、深層学習を用いたニューラルネットワークによって組織画像の特徴抽出を行い、腫瘍細胞の示すパターンを解析しています。 - 非接触的な心電信号により不整脈の検出システムの研究開発
心疾患は、がんについで日本の第二位の疾患であり、年間約20万人が亡くなっています。睡眠時の心電信号計測は、不整脈などの心疾患の早期発見に有用ですが、従来の電極の貼り付けは睡眠時に不向きです。そこで、電極の貼り付けが不要となる無拘束的な心電計測を用いて、睡眠時に連続的に計測する心電信号により、不整脈をリアルタイム的に検出および分類するモニタリングシステムを構築しています。
研究業績・共同研究・社会活動・外部資金など
- Krogan, Nevan J., et al. “Global landscape of protein complexes in the yeast Saccharomyces cerevisiae.” Nature440.7084(2006): 637- 643.
- Ohtana, Yuki, et al. “Clustering of 3D‐Structure Similarity Based Network of Secondary Metabolites Reveals Their Relationships with Biological Activities.” Molecular informatics33.11-12(2014): 790-801.
- Altaf-Ul-Amin, Md, et al. “Systems biology in the context of big data and networks.” BioMed research international 2014(2014).
- Huang, Ming, et al. “A wearable thermometry for core body temperature measurement and its experimental verification.” IEEE journal of biomedical and health informatics 21.3(2017): 708-714.