ラボ紹介
今日の情報社会は、アプリケーション、システム、コンピュータ、VLSIなど様々なレベルの高度な技術に支えられています。ディペンダブルシステム学研究室では、分散システム、マルチコアコンピュータ、VLSI、脳型コンピュータなど、あらゆるレベルでユーザが安心して使えるシステムのための研究を行います。
- 分散アルゴリズム
分散アルゴリズムとは、自律動作する多数のプロセスやロボットを協調動作させるアルゴリズムです。インターネットのような大規模自律分散システムからナノスケールの素子を用いたナノスケール分散システムまで、さまざまなタイプの分散システムを効率よくディペンダブルに運用する分散アルゴリズムを開発しています。以下のような、新しい分散システムや分散アルゴリズムを積極的に研究しています。- システムを稼働させながら自己修復する自己安定アルゴリズム
- システム内を自律的に駆け回るモバイルエージェント
- 逐次処理等における乱択技法の分散アルゴリズムへの応用
- ランダムウォークなどの自然な乱択手続きにおける確率的解析
- 多数のロボットが協調する群ロボット
- 通信相手が刻々と変わる動的グラフ向け分散アルゴリズム
- ビットコインなどで用いられる分散型台帳
特に、群ロボットの研究に関しては、150台のKilobot、15台のKhepera IVを用いて、アルゴリズムの実証実験も行っています。
- ニューロモルフィック回路の高信頼化
これまでの集積回路の進展はCMOSトランジスタの微細化に支えられてきましたが、物理的な限界に達しつつありこれ以上の性能向上が困難になっています。この危機的な状況を打開すべく新たなコンピュータ基盤の開発が強く求められています。特に、人間の脳を模したニューロモルフィック回路は、これまでの計算の質を根本から変える回路アーキテクチャとして期待を集めています。ところが、ニューロモルフィック回路を構成する不揮発メモリ素子はシリコン材料に比べて長期使用を可能とする堅牢性と信頼性に課題があり、実用化に向けて多くの課題が残っています。そこで、本研究室では、ニューロモルフィック回路の高信頼化設計に関する研究を行っており、国内外の研究機関と協力し、実際のデバイス開発から学習アルゴリズム開発まであらゆるアプローチで取り組んでいます。 - ハードウェアのセキュリティ
VLSIサプライチェーンのアウトソーシング利用などで、ハードウェアであるVLSI回路にも不正が混入される危険があります。ハードウェアセキュリティを強化するため、ハードウェアトロイ検出の研究を行っています。 - 機械学習を用いた集積回路のテスト高品質化
集積回路は、様々な条件化で様々なテスト項目を測定する厳しい出荷テストをパスしたものだけが出荷されますが、良品と不良品を確実に判別するのはとても困難で、コストのかかる問題です。そこで、機械学習を利用して、コストを抑えて、テスト品質を高度化する技術を研究しています。
研究業績・共同研究・社会活動・外部資金など
- 研究実績
- 学術論文誌
- Hau Sim Choo, Chia Yee Ooi, Nordinah Ismail, Michiko Inoue, Chee Hoo Kok, “Improving Hardware Trojan Detection Coverage by Utilizing Features at Different Abstraction Levels,” Journal of Advanced Research in Applied Sciences and Engineering Technology, vol.32, no.1, pp73 -86, 30 Aug. 2023, doi:10.37934/araset.32.1.7386
- Takuma Nagao, Tomoki Nakamura, Masuo Kajiyama, Makoto Eiki, Michiko Inoue, Michihiro Shintani, “Wafer-Level Characteristic Variation Modeling Considering Systematic Discontinuous Effects,” IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences, IEICE, vol.Advanced publication, 19 Jul. 2023, doi:10.1587/transfun.2023KEP0010
- Grégory Bénassy, Fukuhito Ooshita, Michiko Inoue, “Eventually consistent distributed ledger despite degraded atomic broadcast,” Concurrency and Computation: Practice and Experience, John Wiley & Sons, vol.35, no.11, ppe6199, 15 May. 2023, doi:10.1002/cpe.6199, naistar
- 国際会議等発表
- Makoto Eiki, Tomoki Nakamura, Masuo Kajiyama, Michiko Inoue, Takashi Sato, Michihiro Shintani, “Improving Efficiency and Robustness of Gaussian Process Based Outlier Detection via Ensemble Learning,” International Test Conference, Anaheim, CA, 11 Oct. 2023
- Ryota Eguchi, Fukuhito Ooshita, Michiko Inoue, Sébastien Tixeuil, “Meeting Times of Non-atomic Random Walks,” 25th International Symposium on Stabilization, Safety, and Security of Distributed Systems (SSS 2023), SSS 2023, Springer, vol.LNCS 14310, Newjersey, US, 2 Oct. 2023
- 国内学会研究会またはシンポジウム等発表
- Takuma Nagao, Tomoki Nakamura, Masuo Kajiyama, Makoto Eiki, Michiko Inoue, Michihiro Shintani, “Wafer-Level Characteristic Variation Modeling Considering Systematic Discontinuous Effects,” IEICE Tech. Rep., IEICE, vol.122, no.402, pp109 -109, 2 Mar. 2023
- 新谷 悠太, 井上 美智子, 新谷 道広, “ガウス過程を用いた機械学習に基づくメモリスタモデリングの高速化,” 信学技報, 電子情報通信学会, vol.122, no.402, VLD2022-75, pp13 -18, 2023年3月1日
- 表彰または受賞
- 長尾 匠真, 中村 友紀, 梶山 賀生, 栄木 誠, 新谷 道広, 井上 美智子, “VLD Excellent Student Author Award for ASP-DAC 2023,” 社団法人 電子情報通信学会, 沖縄, 2023年3月2日
- 学術論文誌
- 企業との共同研究:ルネサスエレクトロニクス、キオクシア
- 連携研究機関:Sorbonne University (France), 福井工業大、京都工繊大、大阪大、大分大、法政大
- 外部資金:科研費